異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「このまま、必ずユーリを王妃にする」

「私も、ぜひともそれを望みます。ユーリは常に穏やかで、誰に対しても優しく、自ら体を動かすことを厭わない。そんな人が王妃として立つ、新しいこの国を見たいものです」

「私もそう思っている」

ユーリという一人の人間が、この国をどう変えてくれるのか。私も見てみたい。


「ところでブラッド。いつまでも〝ユーリ〟と呼ぶのはいかがなものか?侍女もそう呼んでいるようだが」

「それは本人からの強い希望だからです。もちろん、公の場では〝ユーリ様〟とお呼びします」

心の内で、思わず舌打ちをする。同性である侍女ならともかく、私以外の男が〝ユーリ〟と呼ぶことに腹を立てるなど、私も随分変えられてしまったものだ。
そしてこの男は、おそらく私のこの心情に気付いている。ブラッドの言葉の端々に、それが漏れているせいで、いささか居心地が悪くなる。



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