異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「ああ。悠里さん、おはよう」

「……おはようございます」

挨拶をしてきたのは、将来この病院の院長になるのではと噂される外科医、滝沢先生だ。海外での研修を終えて、半年ほど前にこの病院にやってきた。35歳という若さで数々の手術をこなし、腕は確かだと評判の高い医師だ。

この先生が、なぜか私のことを気に入ったようで……

「悠里さんは、今日も相変わらず可愛いですね。髪、だいぶ伸びましたね。ポニーテールも似合ってます」

そんなことを言いながら、さらっと私の髪に触れるから、思わずのけぞってしまう。次の休みには、絶対に切ってやると密かに誓った。

「滝沢先生、ここは職場です。仕事以外の言動は謹んでください」

「おっと失礼。でも、私は夜勤明けでもう上がるところですし、悠里さんは始業前で、まだ少し時間がある。だから、許してくださいね。ああ、そうだ。水曜日に、ディナーでも一緒にどうですか?」

「何度も言ってますが、私には付き合っている人がいるので、滝沢先生のお誘いには応えられません」

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