異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「林の中で倒れていた人を発見して、連れ帰ってきました」

「人……見知った人物か?」

「いえ。見たこともない衣服を身に付けておりまして……気を失っているので、部屋に寝かせてあります」

「危険性は?」

「ないと思われます。それから、その者ですが、女性のようです」

「女……」

「短い髪だったので男かと思いましたが、確かに女性です。着替えを頼んだ侍女にも確認しました。間違いなく女性です」

「我が国の民でもないと思われる女が、林の中で倒れていたと……」

ルイスの機嫌が一気に悪くなって行くのがわかる。ここまでの女嫌いとなると、それはもはや一種の病気なのかもしれない。

「はい。何か異国の情報を持っている可能性もあります」

「……まあよい。倒れている者を放ってもおけまい」

ルイスの言葉に、わずかに安堵する。

「城に留まることを許そう。ブラッドの言う通り、何か情報を持っているかもしれん。目が覚めたら、早速聞き取りをしてくれ。そやつのことは、騎士団長であるブラッドに任せる。報告だけは随時上げてくれ」

「承知しました」

おそらくルイスが一番信頼する部下は、自分だと自負している。任される内容も、騎士団長としての範囲を超えるものが多いが、彼に頼られることは悪くない。


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