異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
淵に手をかけて、そっと外を窺った。手前には、綺麗に手入れをされた花壇が見える。左手側には林が広がり、正面の離れたところには建物がたくさん建っている。右側はこの城が続いているようで、壁が見える。ここ、本当にお城じゃない……

何一つ見知ったものを見つけられず、おとなしくベッドに戻って座った。男も椅子を近付けて座っている。

「ここは、本当に日本じゃないんですね……」

混乱する頭を振って、今はっきりした事実をなんとか受け止めようとする。

「日本?それはなんだ?」

「なんだって……私の住んでいた国ですよ」

「初めて聞いたな。ユーリは私の知らない、どこか遠くから来たんだな」

「そう……みたいですね」

足元を見つめたまま、思い出せる限りを思い起こしてみる。確か、看護師達の嫌がらせを受けて、その尻拭いに終電までかかってしまって……電車に乗り込んだ途端、眠くなって……

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