異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
『悠里ちゃん、この世界はもう嫌になっちゃった?』
『じゃあ、僕が連れて行ってあげるよ』

そうだ。そんなやりとりの後、すごく眩しい光に包まれて……

「こむぎ……?」

「なんだそれは?さっきも寝言で呟いていたぞ」

「え、えっと……私の飼っていた犬なんですけど……」

そう言って、昨夜夢で見たことを思い出しながら、話して聞かせた。

「それで、気付いたらここにいました。ここは……私が住んでいた所とは何もかも違って見えます。なんだかずっと昔っぽいというか、そもそも全く違う世界で……」

「頭を打った覚えは?」

どうやら、頭がおかしいのではと疑われたようだ。でも、そんな覚えは全くなくて、首を横に振る。

「あの……そもそも、あなたは誰なんですか?」

とりあえず、何かされるわけでもなさそうだし、私の話を聞いてくれることに気が緩むと、相手のことを聞く余裕が出てきた。

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