異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

しばらくすると、扉をノックする音が聞こえてきた。現れたのは、まだ十代後半ぐらいだと思われる、女の子だった。

「失礼します」

少女は、礼儀正しくお辞儀をして、私に近付いてきた。いや、礼儀正しくしているのは表面だけで、どこか恐る恐るといった様子だ。

無理もないだろう。今の私は、得体の知れない人物だ。ブラッドもそうだけど、この少女も私から見たら外国の人という外見だ。ということは、相手から見たら私の容姿はかなり異質なものかも知れない。

ブラッドは、浅黒い肌に茶褐色の髪、グレーの瞳だった。この少女は、小麦色の肌に髪は茶色、ブラッドよりも薄いグレーの瞳を持っている。

対する私は、黒髪に黒っぽい瞳、少し色白気味なうすだいだい色の肌。間違いなく、ここでは私の方が異質なのだろう。