異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「ライラと申します。ブラッド様の言い付けで参りました」

わずかに声を震わせながら、それでも必死に足に力を入れて立っているのがわかる。見ていて申し訳ないやらかわいそうやら、複雑な気持ちになってくる。

怖がらないで欲しい。私はあなたの敵ではないという想いを込めて、笑みを浮かべてみせた。

「悠里といいます。お手伝いをしてくださるそうで、ありがとうございます。
私、気付いたらここにいて、正直、この国がなんなのか、全くわからないんです。いろいろ教えてくれると助かります」

精一杯の親しみを込めて伝えると、少しはこちらの想いが伝わったのか、ライラの体から力が抜けていくのがわかる。

「えっと……私の立ち位置というか、どう振る舞っていいのかわからなくて……」

「ブラッド様から、ユーリ様のことは伺っております」

「ゆ、悠里様!?そ、その〝様〟なんて言われるような身分ではないので、それはちょっと……あなたのことをライラって呼ばせてもらうから、私のことは悠里とよんで欲しい」

「ですが……」

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