異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

しばらく1人で過ごしていると、再びライラがやって来て、テーブルに朝食を並べてくれた。

「ありがとう。ライラはもう食べたの？」

「はい。侍女の朝は早いんです」

「そっかあ。できたら一緒に食べたいね。じゃあ、いただきます」

私が食べている間、ライラは別の仕事があるからと、部屋を出て行ってしまった。

運ばれて来た食事を眺める。パンとスープと、お肉の入った野菜炒め。食べ慣れたメニューとほぼ同じで、ホッと胸を撫で下ろす。

「バランスは良さそうだわ」

頭の片隅で、大丈夫だろうか……と安全性を疑っていたけれど、空腹には敵わない。恐る恐る口に運んだ。

「なにこれ、美味しい」

ちょっとどっしりしたパンも、温かいスープも、彩も素晴らしい野菜炒めも、どれもこれも絶品だ。
これでも管理栄養士の端くれ。食にはそれなりのこだわりを持っている。献立を考えることも、調理をすることも好き。この国には、どんな食材やどんな調理器具があるのかわからないけれど、むくむくと興味が湧いて来る。
気付けば、出された料理を完食していた。