異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。

「あ、ありがとう。もうそんな時間なのね」

「ユーリは、旅をしたかったのですか？」

「旅？」

なんのことかと首を傾げる。

「行ったことのない土地を求めていたって」

「えっ？ああ。旅ってわけじゃないけどね。ちょっと嫌なことが重なっちゃって、いろいろ投げ出したかったの。それがまさか、こんなことになるなんて……」

ライラは、何を言っていいのかわからないという顔をした。
だめだ。彼女を困らせるつもりはない。

話を切り上げて、食事に目を向けた。

それほどお腹は空いていなかったけれど、異国の地の料理に興味もあって、早速いただくことにした。
メニューは、パンにスープ、焼き魚だ。なんていう魚だろうか？焼いて塩が振ってあるだけのシンプルなものだ。それなのに、魚そのものの味はもちろんのこと、この塩見加減も抜群に美味しい。この魚なら、煮付けても美味しそう。
スープもパンもやっぱり美味しくて、ますますこの国の料理に惹かれた。