異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「お坊ちゃんの言うことなら、従わないといかんな。だが、こいつは大丈夫だ。綺麗な目をしておる」

「ビューバート!!ルイス様だぞ」

「なあに。お前もお坊ちゃんも、俺が育てたようなもんだ。
ユーリ、こいつと王太子はな、ガキの頃、大人の目を盗んではここにやって来てな、つまみ食いをしたりおやつをねだったり、それはもうやりたい放題しとったんだ。俺にとったら息子のようなもんだ。それも、かなりな悪ガキでな」

ヒューバートの横で、ブラッドが決まり悪そうな顔をしている。どうやら彼の言うことは事実のようだ。きっと今でも、ヒューバートには頭が上がらないのだろう。

「とにかく、ユーリはヒューバートに任せる。何かあれば呼んでくれ」

「おう、わかった、わかった。ほれ、お前さんは自分の持ち場へ行け」

ブラッドが、しっしっと手を振るヒューバートをジロリと睨む。睨まれたヒューバートの方は、どこ吹く風といった様子だ。
その後、ブラッドは私と目を合わせて一つ頷くと、調理場を後にした。


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