異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「ヒューバート、調味料はこれだけですか?」

「そうだ」

驚いた。たったこれだけの調味料で、どうしたらあんな味を出せるのだろうか。仕事柄、興味がますます湧いてくる。

1人でいろいろと考え込んでいると、ヒューバートが盛大に吹き出した。

「ユーリ。ちびっけぇくせに、なに難しいことを考えてるんだ?料理は場数とセンスだ。自分の舌を信じて、俺の感覚で作るだけだ」

「ヒューバートが1人で作るわけじゃないですよね?」

「ああ、もちろん。補佐が何人かいる。俺はそいつらを監督しつつ、味付けの仕上げをしていく」

「それだと、万が一ヒューバートが体調を崩した時なんかは、どうするんですか?」

「ううん……まあ、なあ」

なにやらヒューバートが決まり悪そうな顔をして、頭をかいている。

「まあ、味は落ちるが補佐の奴らに作らせてる」

そうなるよなあ……

おそらく、ヒューバートはその神がかったセンスだけを頼りに、これまでここを取り仕切って来たのだろう。けれど、それではこの先問題も出てくるはず。

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