異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
広場に近付くと、私たちに気付いた騎士達が手を止めた。

「団長、どうかされましたか?」

「いや。手を止めさせてすまない。続けてくれ。ジョナス、ちょっといいか?」

呼ばれて近付いてきたのは、ブラッドよりはわずかに背が低いものの、十分迫力のある体型をした騎士だった。

「ジョナス、先日保護したユーリだ」

騎士達には、私が異国から来たものではなく、保護された者だと知らされているらしい。
ブラッドの言葉を受けて、ジョナスが私をジロリと見た。まるで、不審者でも見つけたかのような疑い深い視線に、思わず縮こまる。

「ユーリ、副団長のジョナスだ」

「ゆ、悠里と申します」

「ジョナス、剣を一本と、そうだなあ……サイラスを呼んでくれ」

「サイラスですか?」

「そうだ」

「一体、なにをされるんですか?」

「ユーリはここへ来る前、剣道という剣術に似たことをやっていたそうだ。騎士達を見て、やりたくなったんだと」

何か面白いことを思い付いたかのようなブラッドに対し、ジョナスは不信感をあらわにしている。

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