異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
数種類のおかずを作ると、食べる前にお風呂を済ませておく。買ったばかりのローズマリーの入浴剤は、疲れた心も体もじんわりと癒してくれる。お風呂上がりには、さっき買ったパックを顔に広げた。

一通り、自分のためだけの時間を過ごして食事を済ませると、テレビの前に座った。特に見たいものはないけれど……そういえば、ここのところテレビを見る心の余裕すらなかったなあと気付く。
画面を眺めながら、ぼーっと過ごしていると、スマートフォンの着信音が響いた。友人の美希からだった。

「えっ?なにこれ……」

送られて来た写真に理解が追い付かず目を擦っていると、すぐさま2通目が届く。こちらは文章のようだ。

『さっき見かけた場面。これ、悠理の彼の仁さんだよね?もう1人は、理香よね?』

再び写真を画面に呼び戻す。楽しそうに腕を組んでいる男女は、確かに私の彼の仁と私の友人の理香だった。2人の向かう先は、どう見てもホテル街だ。

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