異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「ユーリ、ルールは同じだ。どちらかが剣を落とすか、参ったと言うまでだ。クリスも、それでいいですね?」

「ああ」

了承したのを合図に、間合いを取って構える。なるほど。ユーリの構えはとても洗練されており、その腕前がなかなかのものだろうと想像できる。


「はじめ」

自分もユーリも全く動き出さないが、心理戦は始まっている。どちらが先に仕掛けるか。少しでも隙を見せれば、間違いなく仕留められてしまうだろう。

じりじりとし出すのは、向かい合った2人よりも周りで見ている騎士の方が早かった。

おそらく、見習の者だろう。ざっと足を踏みしめる音が微かに響き、それを合図に私もユーリも踏み込んで斬りかかる。

踏み込むと同時に腕を振り上げたユーリに、一瞬気がそれそうになるが、これを押さえ込んで間合いを詰める。交差した剣越しに、ユーリを見つめれば、そこには〝勝つこと〟に対する執念が見て取れた。

そのまま、ユーリに剣を跳ね上げられる。続け様に胴身に斬り込んでこようとする気配を感じ、素早く避けながらその剣先を叩き落とす。

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