異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
剣道というものは、なかなか手強い。
ユーリは一度距離を取ると、態勢を整えて、再び剣を構え直した。

しかし、今度は剣を頭上に上げ、胴身を無防備に晒してくる。そこを斬り込めばいいというほど、単純なものではないだろう。
警戒を一段と強めて向き合う。

今度は、ユーリの方から先に踏み込んでくる。あえて胴は狙わず、彼女が間近に迫ったところで斜めに剣を受け止め、そのまま剣を弾き、身を低くして下半身に攻撃を加える。ユーリはこちらの喉元をつく姿勢のまま、膝を崩した。

「まいりました」

その一言を受けて、周りの騎士達が一斉に息を吐き出す。ここにいる全員が、2人の気迫に飲まれていたようだ。

「そこまで」

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