異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
剣を収めて、ユーリに歩み寄る。それほど力は加えていない。おそらく怪我はさせていないはずだ。
今更ながらだが、若い女性に剣を向け、攻撃したことに対する罪悪感のようなものが芽生えてくる。

「すまない。大丈夫か?」

「はい。大丈夫です」

「つかまるといい」

ユーリの目の前に手を差し伸べてやる。若干遠慮がちにではあるが、ユーリはそれにつかまると、しっかりとした足取りで立ち上がり、手を離した。

「ありがとうございました。勉強になりました」

「いや。今更だが、女性に攻撃をしてしまって申し訳なかった。でも、楽しかったぞ。ユーリはなかなか腕が立つようだ。ここにいる見習い達では、歯が立たないな」

「いえ。またお時間のある時に、お手合わせ願います」

「珍しい女性だな。わかった。ユーリからの挑戦だ。受けて立とう」

清々しい笑みを向けるユーリに、何かこれまで感じたことのない思いが込み上げてくる。これは一体、なんなのだろうか……



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