異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「クリス。次の予定の時間は大丈夫ですか?」

答えを見つける前に、ブラッドの声に邪魔をされる。早く行けと言いたいところなのだろう。

「ああ、そうだったな。私はこれで失礼する。ユーリ、それではまた」

もう少しここにいたいと思ったのは、気のせいではないだろう。後ろ髪を惹かれるというのは、こういうことを言うのだろうか?なんとなく振り返るのを我慢して、執務室へ歩みを進めた。



「ルイス様」

しばらく行くと、追いついてきたブラッドに呼び止められた。だが、歩みは止めず、片手を上げてそれに応える。

「先ほどのことは、どう解釈すればよろしいのでしょうか?」

相変わらず、訳の分からないことを言う。ブラッドに視線を向けると、困惑した表情を見せていた。この顔を、先ほど広場で見せなかったのは、さすがと言ってよいだろう。

「どうとは?」

「ユーリに対する、ルイス様の対応です」

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