異世界で女嫌いの王太子に溺愛されてます。
「対応か……今日、初めてユーリと対面して、信頼できる人物だと確信した。それだけだ」

「あなたが初対面の女性に、あれほど近付いて、無条件に信頼をするなんて、私は奇跡を見ているようです」

こいつはたまに、言葉にトゲを仕込んでくるな。チラリと一瞥して、なんと答えようか思案する。

「女性でありながら勇ましく剣を持ち、身分に関係なく、自分のできることを生かして労働を申し出る。そしてそれを楽しんで行う。ユーリは女性かどうかというのではなく、1人の人間として気に入った。ただそれだけだ」

「人間として……」

「ユーリは臭い香水をつけない。ユーリは大袈裟なドレスを求めない。ユーリは立場に関係なく頭を下げることができる。ユーリはぐだらないことで時間を無駄にしない。そういう人物なのだろう?」

「まあ、はい。おそらく、豪華なものを目にしても、無闇に手は伸ばさない人物だとは思います」

「それがわかったからだ」

〝そういう人物だからこそ、気兼ねなく近づける〟
出かかったその言葉を飲み込み、執務室に入った。





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