愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
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私が婚約に応じると返事し、翌日には佑からスマホにメッセージが届いた。
【咲花、色々と迷惑をかけてすまない。
本当にいいのか?
俺に気を遣っているなら、遠慮なく断ってくれ】
私は昼休みにそのメッセージを確認した。オフィスは総務部であり、多くの時間を受付で過ごす私は、来客に応対が主な仕事だ。社内の人間に繋ぎ、IDカードを渡す。戻ってきた客からIDカードを受け取る。そういう仕事。
受付は交代でごはんを食べるので、私の昼食は本日13時半に総務応接室でひとりぼっちごはんである。
私はお弁当を置き、すぐに返信する。
【大丈夫だよ。
ひとり娘だから、身を固めるのは吝かでないし
相手が佑なら安心安心】
あくまで好意はにじませず、妹の領域で答える。だって、そうでしょう。
待ってました!私、ずっと佑のことが好きだったのー!渡りに船!棚からぼた餅!なんて言える?……私は言えない。
長く妹のフリをしてきた私には、佑がどんな気持ちでこの婚約を受諾したのかわかる。
一族主義の竜造おじさまに言われたからというだけじゃない。きっと傑との婚約破棄で嫌な想いをさせた私に、最大限の償いをしたいと思っているからなのだ。
佑と結婚すれば、両親は喜び、ゆくゆくは陸斗建設の社長夫人。生活面、金銭面では、充分過ぎる保証になるだろう。
だから、私が佑を拒絶しなければ、この婚約は成立する。私にとっては夢にまで見た幸せな展開だけど、佑にとってはそうじゃない。
だって、佑は他の女性と結婚するはずだったんだもの。