愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
「ケーキ美味しかったんだもの。普段はそんなに食べてないじゃない。ほら、ウエディングドレスのために」
「わかってる。今日は特別なんだよな」
「そうそう、クリスマスだしね」

テレビでは芸人がクリスマスをネタにトークしている。聖夜スペシャルと銘打ってるけど、全然聖夜っぽくないなあ。そもそも仏教徒の日本人には聖夜でもなんでもないんだよなあ。
そんなことを考えていると、佑が口を開いた。

「昔、クリスマスは咲花がうちに来たな」
「あ、私もさっきそれ思い出してた」
「イブは親がいないから遅くまで子どもだけで遊べるのが楽しくて。特別な日だった。こうしていると、思いだすよ」

そう、私たちだけの宝物みたいな時間だった。佑も一緒に思いだしてくれて嬉しい。

「ケーキは毎年、咲花のリクエストだった」
「え？そうだっけ？」
「そうだよ、うちの母親が事前にリクエスト聞いて有名ホテルのパティシエあたりに予約しておくんだ。ショートケーキやブッシュドノエルの年もあれば、チーズケーキやフルーツタルトの年もあった」

言われてみればそうだったような。だからかな、私の中でクリスマスケーキに対するイメージが一貫していない……。
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