愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
「仕事納めから大晦日まで実家に行くんだろう」

これ以上話すのが照れくさいのか、思い出話はおしまいみたいだ。ちょっと残念に思いながら頷く。

「うん、そのつもり。佑も顔出してくるんでしょう」
「まあな」

年末は数日実家に帰省する予定になっている。私が家を出て、母も寂しがっているみたいだし、休みが続くのでちょうどいいと思ったのだ。

「年明け、二日が結納だしな」
「正月からおめでたい感じだよね」

竜造おじさまの考えで、新年早々に横浜の例のホテルで結納をしようということみたい。年明けもう少し落ち着いた頃にと思ったんだけど、どうやらおじさまの用事みたいだ。

「親父、三日からタイなんだよ。ゴルフだって」

佑が言う。なるほど、自分の旅行予定はあるから、その前に済ませちゃいたかったのね。相変わらずマイペースだ。

「年が明けたら結婚式まであっという間だろうな」
「本当だね。忙しくなりそう~」
「咲花」

佑があらたまって言う。

「親たちの行事みたいな結婚式に付き合わせてすまない」
「それを言うなら、うちの親もそんな感じよ。あの人たち、嫌になっちゃうわね」
「新婚旅行は、親連中に干渉されずに、咲花が一番楽しいように企画する。希望があったら言えよ」

佑はどこまでも私ファーストでいきたいみたい。
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