愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
「はい、仲良く暮らしています」

内心焦っていた。慣れたけど、仲はいいけど、どう表現していいかわからない関係……。

「孫は早く見せてくれて構わないよ」

孫!?
いきなりの孫希望に、私は湯呑みのお茶を吹きだしそうになった。

「父さん、結婚式は三ヶ月も先ですよ」

佑がたしなめるように言うけれど、竜造おじさまは応えていない。

「赤ん坊がでてくるまでは十ヶ月かかるだろう。問題ない問題ない」

食い下がろうとする佑に、うちの母がおじさまに調子を合わせて言う。

「私たちが元気なうちに孫の顔は見せてもらわないとねえ」
「元気なうちって、……まだまだみんな若いのに、気が早過ぎよ」

私は笑いながら、母に反論する。母からは、手伝う気満々の答えが返ってくる。

「孫育てにもパワーがいるでしょう。体力が残ってるうちに産んでもらわないと手伝いができないのよ」
「そうねえ、保育園や学童に、おじいちゃんおばあちゃんが迎えに行くって聞くものね。元気なうちに頼まれたいわあ」

おばさままでそんなことを言いだす。どうやら、親たちはまだ見ぬ孫に夢を馳せているみたい。うう、本来はものすごくデリケートな問題よ。普通のご夫婦にだって、早く孫を見せろだなんて言ったら気遣いのない親よ。
だけど、私たちの両親にデリカシーというものがあるなら、私も佑も逐一振り回されていない!

そしてここが重要なんだけど、私と佑はキスもまだ。
いい大人だけど、健全すぎる夫婦生活を送ってるのよ。
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