愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
6.触れたい
新年の職場は早々に忙しい。リゾート開発の案件が入り、父の代わりに俺が取り仕切ることになったからだ。父の仕事はすでに半分くらい俺に移譲している。
今回はかなり大がかりな仕事なので、年末からチームを作って動き始めていた。
「副社長、今日はもうこのあたりにしませんか」
営業部の部下に声をかけられたのは20時半過ぎだ。
「ああ、すまなかった。皆を残業に巻き込んでしまったな」
俺自身が気になる点を調べていて遅くなったのだが、部下たちは俺がいては帰れないだろう。すると声をかけてきた年嵩の部下が言う。
「いえ、副社長は新婚じゃないですか。これからもっと忙しくなりますし、帰れる日は帰って奥様の手料理を食べるべきですよ」
なるほど、逆に気を遣われていたようだ。
「ありがとう。確かにその通りだ。みんな、今日はもう終わりにしよう」
声をかけると、その場にいた部下たちが笑顔で返事をした。
家路に就く俺は、咲花のことを考える。今頃は、俺の帰りを待っているだろうか。夕食を作って、お菓子でもつまみ食いしながら、