愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
帰宅すると、室内の電気はついていなかった。時刻は21時。
変だ。咲花はここまで遅くなることはない。社内で飲み会などがあれば、事前に俺に言うか、スマホに連絡がくるだろう。
自身のスマホを取り出してチェックすると、咲花からメッセージが入っていた。

【遅くなります。お夕飯、済ませてください】

気づかなかったが、二時間ほど前のものだ。急な残業だろうか。
ひとりであるもので夕食を取り、風呂に入り、なんとなくリビングで仕事の資料をチェックしていると時間は経つ。
その後、咲花から続報はない。以前も実家に行っていて遅かった日はあったけれど、なんとなく心配でスマホにメッセ―ジを送る。

【帰れているか?】
【車で迎えに行こうか?】

いつまで経っても既読がつかない。
何かあったのだろうか。そもそも何の用事だろう。電話をかけてみようか。少し大袈裟かもしれない。一応と電話してみると、充電が切れているようだ。

いよいよ心配になってきた。咲花の実家に連絡をいれる?しかし、これで実家にもいなかったら、咲花の両親に心配をかけてしまう。
咲花はどこへ行ったのだろう。こうして見ると、俺は大人になった咲花についてまだまだ知らないことだらけなのだと思う。休日はどこへ出かけるのか、友人と遊びに行ったりするのか。俺と暮らし始めてから、俺のことばかり優先してきた咲花。

もっと咲花のことを知っておきたい。こんなことを考えるなんて今更すぎて笑えてしまう。咲花が帰ってこないことが不安でしょうがないなんて。
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