愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました

「咲花は子どもの頃から大事な妹だった。誰よりも幸せになってほしかった。だけど、一緒に暮らすうちに気づいた。他の男に咲花を幸せになんかできない。俺の手で咲花を幸せにしてやりたい」

歩み寄り、咲花の両手を取った。咲花は抗わない。俺たちは吸い寄せられるように互いを視線で絡めとる。

「好きだ。咲花と別れることはできない」

咲花の目からとうとうぽろりと涙がこぼれた。

「親父と争えば、俺は陸斗を追われるかもしれない。咲花も家族と絶縁しなければならないかもしれない。幸せにすると偉そうなことを言いながら、俺はおまえに苦労をかけることになる。それでも……！」
「佑といたい」

咲花が後を引き取って答えた。
涙が後から後から溢れ、咲花の白い頬を濡らした。

「ずっとずっと佑が好きだった。子どもの頃から。叶うはずもないと思って封印した恋だったの。だけど、こうして佑との将来が見えた。絶対に手放さない」

俺を見上げ、咲花は泣きながら大輪の花のように笑った。

「佑がいればいい。他は何もいらないよ」
「咲花！」

俺は咲花を力いっぱい抱き締めた。