愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
「お夕飯、お好み焼きなんてどう?」
「咲花、この前買ったホットプレート使いたいんだろ」
「ふふ、バレた?でも、うちにある材料にこの粉を買い足せばばっちりなの」
「咲花、キムチもお好み焼きに入れるのか?」

お好み焼き粉のついでにキムチをカゴに入れ佑に尋ねられる。

「入れるよ。あと、家にあるチーズとめんたいこも。色々研究したけど、全部一緒に入れたら美味しいってわかったの。あと、豚肉とソーセージときざんだ紅ショウガと揚げ玉と……。なるととか練りものを入れても美味しい」

私の説明を佑が笑顔で制する。

「うん、入れるものはもう少し整理しようか」

美味しいのになあ。一度食べたらやみつきになると思うんだけど。

「なんか、こういう毎日が楽しいな」

佑が言う。私は頷いて、ふふと笑う。佑の笑顔が見られたら私だって毎日楽しい。
些細なことが嬉しくて、わくわくしてしまう。

私たちの逃避行は、私たちにとっては初めての反抗で、意見の発露で、きっと勇気を出さなければできないことだった。
だけど、私と佑には人生をかけて貫きたいことだった。

「新婚さんっていいね」

私たちはまだ入籍していない。できれば、両親に納得してもらってからと思っているものの、今の時点では難しそうだ。
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