愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
外でのしゃきっとした顔しか知らなかったし、性格も男らしいタイプだったのに、好きな相手にはこんな顔を見せるのかとキュンキュンしてしまう。
そういえば、一緒に暮らしてから、佑の案外隙のある姿や甘い態度を色々見てきた。佑が徐々に私を好きになってくれた過程なんだなと思うと嬉しい。

「咲花ー」

お風呂を洗って給湯した佑が戻ってきて、リビングに顔を出した。

「風呂、一緒に入ろう」
「いやよ」

私は頑なに拒否する。食後だし、お腹がぽこっと膨らんでそうで見られたくない。佑はお腹がぺったんこのままなんて言ってくれたけど、お好み焼きをがっつり三枚食べてるし、しっかり胃は出っ張ってるんだから。

「駄目。俺が入りたいから一緒に入る。もう決定」

佑はいたずらっ子みたいに言って、私の顔を覗き込んだ。
その顔には弱い。もう、可愛いんだから。

「変なことしないでね」

応じる言葉を呟くと、佑が笑った。

「してほしいって言ってるみたいだぞ」
「言ってません!」

佑に甘えた態度を見せられると、どうにもしたがってしまう。惚れた弱みだわと私はドキドキする胸を押さえた。
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