愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
まだまだぎくしゃくしている父親同士の和解のきっかけになればいいと思うけれど、私と佑からは敢えてなにも言わないつもり。

そして、夜には傑と里乃子さんがお祝いに駆けつけてくれることになっている。ふたりは花依が産まれてからすでに二度ほど遊びに来てくれているんだけれど。

……とここまでの予定、私の可愛い愛娘が良い子にできるかはまったく未知数だ。このひと月、ほとんど家で育児漬けだったし、お出かけは一ヶ月健診くらいだったもの。

「花依、泣いちゃったりしないかしら」

ワンピースにジャケットという出で立ちになり、花依の衣類を用意しながら眠る顔を覗き込む。

「泣いたっていいじゃないか。お宮参りなんて、どこのうちもそんなものだろう。食事は個室を取ってあるしな。俺は咲花の方がくたびれてしまいそうで心配」

そう言って佑が私の頬にキスをした。
私は優しい夫の髪を撫で、そっとその胸に頭をもたせかける。

「大丈夫、疲れたら、佑に頼っちゃうから」
「ちゃんと頼ってくれよ。花依は俺が抱っこする。今夜傑たちが来るのも、俺が準備するからな」

過保護で愛しい人。
私はくすくす笑って、甘えるようにささやいた。

「いつの間に最高の旦那様でパパになっちゃったのかしら」
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