愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
里乃子さんの言葉に、これまた素直に頬を赤くする傑。
ああ、なんか当てられっぱなしだなあ。でも、傑が幸せそうで嬉しい。傑が好きになった子が愛らしくて性格の良さそうな子で嬉しい。
傑には一番幸せになってほしかったから。
いつか、ここに佑も交えて四人でごはんを食べたりできるのかなあ。

「咲花、兄貴には、今一度はっきりと伝えた方がいいな。俺との婚約破棄は本当に合意だったこと、俺に気持ちがないこと。そしていい機会だから、自分が誰を好きか伝えろ」
「え」

私は小皿に山盛りにしたポテトサラダをごとんとテーブルに置く。
それはあらためて告白しろってこと?

「いやいやいや、そういうのはいらないんじゃないかしら。『婚約破棄は合意だよ、傑のことはなんとも思ってないよ』は伝え直すけど」

だって、私と佑は結婚するって決まっているのだ。ここで私がずっと好きでしたなんて伝える必要はないんじゃない?妹同然の私の好意は、佑にとっては予想外だろうし。
せっかく楽しくふたりで暮らそうと思っているのに、スタートからぎくしゃくしたくない。

「兄貴、昔から咲花のモンペみたいなところがあって、俺よく言われたよ。『咲花に変な男が寄ってきたら追い払え』って。咲花のことは誰より大事に想ってると思う」
「だから、それは妹としてでしょ」
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