愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
そうだ、昨日、里乃子さんからもらったお菓子があったんだった。棚から出してきて、箱を開けるとクッキーがずらりと並んでいる。おお、焼き菓子って大好き。
私は紅茶を入れ直してサクサクとクッキーを楽しみだした。美味しいなあ。何枚でも食べられちゃう。きっと実家だったら、母に見つかって怒られちゃうところだった。太るわよ、ウエディングドレスどうするのって。それはそれで考えるけど、美味しいお菓子を我慢してまで痩せたくはないなあ。
すると、玄関でがちゃりという音が聞こえた。

「ただいま」

佑の声!
え?まだ15時だ。早くない?
もっと遅く帰ってくるのものだと思っていたんだけれど。
私はクッキーをお皿に戻し、ぱたぱたと玄関に走った。

「お、おかえりなさい!」

佑は出張の荷物をどさりと上がり框に置き、私のことを見つめた。

「咲花、ただいま」

うわ、ちょっと感動しちゃった。ただいまとおかえりを言い合っちゃったわ。この家は私と佑の家なんだなあ。改めて実感する。

「早かったのねえ」
「朝からゴルフとランチの約束があったんだが、先方が今朝ぎっくり腰をやったそうでキャンセル。ちょうどいいから、別件の調査をしてもどってきた」

佑は奥には行かず、手前の部屋に入り、自身の荷物を開ける。

「シャワーと着替えだけしてしまおうかな」
「うんうん。それがいいよ。荷ほどきしてないんでしょう?手伝う?」
「明日、代休だからやるよ。木曜はこの荷物を運び込んでもらったところで会社に呼ばれて、家具の運び込みは親父の秘書さんに見ていてもらったんだ」
「忙しかったんだねえ」

鞄を預かり、寝室に運ぶ。佑はTシャツにジャージスタイルになり、着替えとタオルを手にリビングに入ってきた。
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