愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
私はマグカップを置いた。実は両親とのこんな問答に意味はないのだ。私はとっくのとうに心を決めているのだから。両親の顔をまっすぐに見つめて答える。
「わかりました。佑と婚約します」
父がぱっと表情を明るくする。
「そうか!そうしてくれるか」
母はまだ不満そうな顔をしていたものの、父は大喜びで竜造おじさまに電話をかけに行ってしまった。
私は三つめのシュークリームの封を開ける。誤解ないように言うけど、私は両親と食べようと三つシュークリームを買って帰ってきたのだ。それを父も母も「それどころじゃない」と食べてくれなかったから、私が食べたのだ。美味しいから全然いいけれど、夕食の後なのでちょっと重たかった。
「じゃ、話はおしまいね」
立ち上がり、両親のいるリビングを後にした。部屋に戻り、どさっとベッドに転がる。仰向けになり、目をつむった。
心臓がどくんどくんと鳴り響いている。心臓というか全身が鼓動に合わせて弾んでいる感覚。
私、佑と婚約するんだ。
どくんどくんどくん……。
「駄目!全然落ち着けない!」
ひとりで短く叫び、ベッドから飛び起き、ベランダから外に出た。夏の終わりにしては蒸す夜だ。私は部屋着のまま、手すりにもたれはーとため息をつく。
佑と結婚。
佑のお嫁さん。
それは私が小学生の頃から夢見てきたことだった。
「わかりました。佑と婚約します」
父がぱっと表情を明るくする。
「そうか!そうしてくれるか」
母はまだ不満そうな顔をしていたものの、父は大喜びで竜造おじさまに電話をかけに行ってしまった。
私は三つめのシュークリームの封を開ける。誤解ないように言うけど、私は両親と食べようと三つシュークリームを買って帰ってきたのだ。それを父も母も「それどころじゃない」と食べてくれなかったから、私が食べたのだ。美味しいから全然いいけれど、夕食の後なのでちょっと重たかった。
「じゃ、話はおしまいね」
立ち上がり、両親のいるリビングを後にした。部屋に戻り、どさっとベッドに転がる。仰向けになり、目をつむった。
心臓がどくんどくんと鳴り響いている。心臓というか全身が鼓動に合わせて弾んでいる感覚。
私、佑と婚約するんだ。
どくんどくんどくん……。
「駄目!全然落ち着けない!」
ひとりで短く叫び、ベッドから飛び起き、ベランダから外に出た。夏の終わりにしては蒸す夜だ。私は部屋着のまま、手すりにもたれはーとため息をつく。
佑と結婚。
佑のお嫁さん。
それは私が小学生の頃から夢見てきたことだった。