愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
私、不破咲花は、会社経営の父と専業主婦の母のもと、一人娘として生まれた。そして、一・二歳の時には、同い年ではとこにあたる榛名傑と婚約が決められていた。

というのも、私たちの父親は従弟同士。さかのぼって、祖父と祖母が兄妹である。
さらに傑の父は陸斗建設という国内大手ディベロッパーの経営者であり、父は傘下の部材調達業を担う企業の社長である。もう、生まれついての絆と上下関係があるわけだ。

しかし、幼い私と傑にそんなことは関係なかった。家が近く、学区も同じ私たちは幼馴染として育った。婚約者だなんて、子どもには意味がわからなかったからだ。
そんな私には特別な存在がいた。

榛名佑。
ふたつ上の彼は、傑の兄で、私にとっても兄同然だった。

佑は私も傑も平等に扱い、遊ぶときは全力で相手をしてくれ、怒る時はしっかり怒ってくれた。
幼い私にとって、佑は世界の中心だった。遊んでくれる。守ってくれる。大好きな佑。薄茶色の虹彩、ブラウンの髪、鼻筋が通っていて外国の少年モデルみたいに格好いい佑。

子どもの頃から榛名兄弟は顔形が綺麗だと近隣では有名だった。ビスクドールみたいな佑、武者人形みたいな傑。小学生女子は、佑派、傑派に分かれてアイドルのような扱いをしていた。

小学生の私は、そんなふたりのはとこであり、女兄弟として存在していたので、やっかまれることもあった。意地悪をされたことも一度や二度じゃないけれど、その都度佑は全力で守ってくれたものだ。
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