愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
「ああ、それなんですが。横浜のベイクラシカルホテルの会場も使えるんですよね」
「ええ、会場のおひとつとして選べますよ。ベイクラシカルにも当ホテルと同等の大ホールがありますし、海に面したガラス張りのチャペルで挙式ができます」

うちの母と佑の母がふたりで盛り上がっているらしいんだけど、日比谷の本館のホテルじゃなくて、横浜のそっちのホテルでリゾートウエディングっぽくやりたいんだそうな。もう、招待状も配っているのに、何を今更。しかし、母ふたりが意見を曲げてくれない。

「横浜の駅からバスでご移動になりますので、こちらの本館よりは利便性が悪いです。ご招待客の増減があるかもしれませんね」
「すみません。母が推してるんですけど、父は反対していて。早急に決めます」

会社のパーティー扱いの結婚式だ。利便性のいい日比谷の本館ホテルでやるべきだとは思う。しかし、母たちが強く意見しているので、無碍にもできない。
はあ、何度目だろうと思うけれど、私と佑の結婚式なのよ。
私も佑も、一生の記念になる愛の誓いの儀式とは思っていないけれど、面倒な思い出にはしたくないなあ。

プランナーさんと相談を終え、日比谷のホテルを出た。
会場の件は急ぎで決めないといけない。ホテル側は陸斗建設の副社長の結婚式ということで、かなり融通してくれているけれど、それでも春は結婚式シーズンだ。
佑にメッセージアプリで内容を報告する。

【会場問題だけ早めに】

こんな文言で締めると、佑からすぐに返信がある。
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