愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
しかし、傑。
咲花というパーフェクトな女子と比べて選ぶほど、彼女は魅力的か？

どこをどう見ても咲花の方が美人だろう。咲花はスタイルもいいし、顔立ちも美しい。上品な立ち居振る舞いは、どこに連れて行っても問題ない。
確かにおまえの恋人は可愛らしいかもしれないが、咲花と婚約を破棄してまで選ぶ人だったのか？
間近で見ても、以前と同じような感想になってしまう。

「咲花さんとは親しくメッセージのやりとりとさせてもらっています」

彼女、里乃子がにっこり笑う。どうやら咲花と会った時に仲良くなったらしい。咲花は人格者だから、『傑が選んだ人』というだけで優しく接するのだろう。

「里乃子さん、今日のことは咲花に話してしまいましたか？」
「いえ、咲花さんご一緒じゃないと伺ったので、もし何かご事情があればと思って何も言っていません」

さすが、営業職。あどけないが、馬鹿ではなさそうだ。

「今度、咲花さんとランチの約束をしているんです。休日に、咲花さんを連れ出してしまってもいいですか？」
「ええ、もちろんです。咲花も喜びます」

社交辞令風かもしれないが、俺も穏やかな笑顔を作って答える。まだ警戒心は解いていない。
傑は非常に頭がいいが、少しとぼけたところがある。この里乃子という女性につけ込まれ、いいように利用されているとも言い切れないのだ。
< 83 / 181 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop