愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
5.ドキドキさせないで
冬本番の十二月、私たちが同棲を始めてひと月半が経った。間もなくクリスマスや年末年始のイベントシーズンがやってくる。
日曜日の本日、午前中に買い出しや掃除を済ませた私と佑は、午後ソファに並んで邦画を見ていた。
「シネコンで見そびれちゃったヤツだから嬉しいな」
「咲花、こういうの見るんだな」
刑事もののサスペンス映画だ。イメージじゃなかったかな。
「むしろ、こういう系ばっかり見てるけど。恋愛映画とか見たことない」
私の答えに佑がふっと笑う。
「言われてみれば、恋愛映画よりアクションやサスペンスの方が好きだろうな、咲花の性格的に」
佑は私のことなんだと思っているんだろう。別にいいけれど。
テレビで放映されたものの録画なので、CMが挟まる。
早回ししようとソファに置いたリモコンに手をのばすと、佑も同じことを考えたようで、手と手がぶつかった。正確には私の右手の上に佑の左手が重ねられた状態だ。
「あ、かぶったね」
内心動揺しつつ、佑が手を退かしてくれるのを待つ。すると、佑は私の手ごとリモコンを持ち上げ、スキップのボタンを押した。
「これでOK」
佑は微笑んで言うと、私の手の上から手を退かさない。計らずも手を繋いだ状態でテレビを眺めている状態になってしまう。