愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
終業後、オフィス近くで佑と待ち合わせた。今日は外食して帰る約束なのだ。

「その前に買い物に付き合ってくれるか?」

何か欲しいものがあるのかなと、ついていくと、佑は新宿のデパートに向かう。一階の化粧品のフロアで突然言うのだ。

「クリスマスプレゼントを贈りたいんだけど、咲花は何がほしい?」

え?買い物って私へのもの?しかもクリスマスプレゼントだったの?

「そんな気遣いしなくてもいいのに」
「最初のクリスマスくらいいいだろう。来年からは誕生日だけにするよ」

突然言われたので、なんと答えたものか迷う。あまり高いものはねだりたくない。だけど、ここはハイブランドがそろうデパートだ。そこそこのものを頼まないと佑も納得しないだろう。

「えっと、マフラー!マフラーを新調しようと思ってたの」
「マフラーか」

佑は頷いて、誰もが知っているハイブランドに向かおうとする。

「待って待って。私ブランドロゴがこれ見よがしについたものって苦手」

特にわかりやすいロゴや模様は好きじゃない。ラビットファーなんか使ったものなら、マフラーでも数十万の単位になってしまう。

結果、私が選んだのはレディース服飾品売り場のノーブランドの品だ。国産のカシミヤなのでそこそこいいお値段はする。気に入ったのは手触りと柔らかなピンク色のカラーだ。

「これがいいのか?」

佑はもっと予算を見込んでいたらしい。これだからお坊ちゃんは!と心の中で言いながら、口では答える。

「ありがとう。これが気に入ったの。ねえ、佑にもクリスマスプレゼントを贈りたいな。後だしじゃんけんみたいで申し訳ないんだけど、私ばかり買ってもらうんじゃ気が引けちゃう」
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