愛妻御曹司に娶られて、赤ちゃんを授かりました
クリスマスイブは自宅で過ごすことにしていた。平日なので何時間もかけて料理は作れないけれど、私なりに前夜にローストビーフを仕込んだり、ラザニヤにチャレンジしてみたりと頑張っている。佑がケーキを買って帰ってくる約束になっていて、私は恋人と過ごす初めてのクリスマスに胸を高鳴らせていた。

最近はそれほどじゃないけれど、それでも私が子どもの頃からクリスマスは恋人同士のイベントというイメージがあった。
そして、私は恋人とクリスマスを過ごしたことがない。

子どもの頃は、佑と傑と三人で過ごす年が何度かあった。
そうだ、クリスマスは双方の両親ともにパーティーに出席することが多くて……今思えば華やかな生活をしていたんだわ、私たちの両親って。
佑と傑と過ごすクリスマスは楽しかった。お手伝いさんが用意してくれるごちそうを囲んで、ケーキや子ども用のシャンパンを楽しんだ。遅くまでゲームをしたり、テレビを見て過ごしたっけ。
佑も覚えているだろうか。きっと覚えているだろうな。
私が幸せなのは、佑とそういう記憶を共有できていることだ。幼馴染ではとこで、私たちは楽しかった思い出をいくつも持っている。
これからも幸せで楽しい記憶を積み重ねていきたい。今度は夫婦として。
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