突然ですが、エリート御曹司様の花嫁を演じることになりました
「もう神にも誓ったんだ……結婚しようじゃないか」
「そんなこと言われても……偽花嫁はできましたけど、籍を入れて夫婦になるってなれば違います。」
それに、天海さんとは詩を介して数ヶ月前に二、三度会ったくらいでほとんど初対面のようなものだ。
……そんな相手と結婚だなんてできるわけない。
「お断りいたします、私はこれ以上できないです」
「そうか、困ったな……」と考え込むように言った。なのに、一瞬で目の前が陰った。私の唇には天海さんの唇が重なっている。
「き、キス……っなんで」
「さっきはキスできなかったから」
いやいやいや、そういう問題じゃない。どういう気持ちで私にキスしたのかって話よ。
「俺は本気だ、結婚しよう……一花」
「いやよ、こんな無理やりにファーストキスを奪われたんだもの。そんな人と結婚なんてできないよ」
天海さんは少し驚いていた。驚くのも無理ないかもしれない。私は実際、恋愛経験ゼロの彼氏いない歴=年齢で……付き合ったことがない。