そしてまた、桜はさきほこる
「あの、すみません!」


「どうしましたか?」


「私、三年の中西圭吾の母なんですけど、このネクタイを届けてほしくて・・・」


「え!?」


頭が真っ白になった。


確かに今、目の前の女性は、私は中西圭吾の母親ですといった。そして、忘れていったネクタイを届けてほしいと・・・。


思考が追い付かない。目の前のネクタイを凝視する。


それでもただ一つ、絶対にこのチャンスを逃しちゃいけないことだけはわかった。


「はい!私が責任を持って渡します!!」


「ありがとう」


女性はニコニコしながら去っていった。


ああ、神様・・・、こんなチャンスをありがとうございます!
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