そしてまた、桜はさきほこる
まるで抑揚のない片言の日本語で伝える。


ト、トドケニキマシタだって。恥ずかしすぎる。


顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。一体この瞬間どんなことを思われてしまっているんだろうか。


「届けに来てくれたの!?ありがとう!!」


先輩は満面の笑みでネクタイを受け取った。


顔が近い、近すぎる。今にも倒れそうなくらい恥ずかしかった。


「あ、あの、ネクタイ届けられてよかったです!」


私は恥ずかしさに耐えきれなくなって走り出す。後ろなど一度も振り返らず、ただひたすらに階段の方へ。


るみがこっちにむかって両手を振ってくれている。


ダメだ。このまま終わっちゃダメだ。


私は、途中で足を止める。そして、後ろを振り返り、叫んだ。


「私!高田さきっていいますー!!」


今度こそ一度も振り返ることなく走り出す。達成感と幸福感が私を満たす。


しばらくは思い出して寝れないかもしれない・・・。


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