そしてまた、桜はさきほこる
第3章 ~中西圭吾~

1節 何も知らない

俺は、本当の恋を知らない。


誰かを好きになるとか、誰かと付き合いたいとか、そういった感情とは無縁だ。


独占欲とか嫉妬心とかは、ドラマや小説だけの作り物の感情だと思っていた。


だからといって、誰とも付き合ってこなかったわけではない。


俺は、容姿がわりと優れていることもあって、よく同じ学校の女の子に告白されていた。


・・・そう言ってしまうと、完全にナルシストにしか聞こえないが。


でも、そうじゃない。


逆だ。
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