そしてまた、桜はさきほこる

2節 憧れの人

俺の家は、母子家庭だ。母と俺と妹の3人家族。


俺がまだ、小学校低学年だったころ、親父は、多額の借金を家に残して姿をくらましてしまった。


それからは、借金の返済も、家族の生活費も、すべて母さんが一人で担っていた。


母さんは、俺たちにはつらい顔など一切見せず、高校も行かせてくれた。


俺は、無責任な親父がとても憎かった。


どうしてこんな母さんを苦しめるようなことができるのだろう。正直、人として終わっている。


そして同時に、俺は母さんをとても尊敬している。子供たちのために、人知れず身を削る姿は、とても強くてかっこいい。


俺は母さんみたいになりたい。母さんみたいに人のために力を尽くせる人間になりたい。


だから・・・。
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