そしてまた、桜はさきほこる

6節 凍てつく心

冬になり、木々は色を失った。


枝には、命つきそうな葉が2,3枚かろうじてつながっているだけだ。


俺は、妹の柚葉と、夕飯の買い出しに地元の商店街へと出かけていた。


しかし、凍てつくような寒さが、数歩ごとに俺たちの足を止める。


「お兄ちゃん、寒いね・・・」


「そうだな、柚葉。ちゃんと手袋つけるんだぞ」


ビューっと強い北風が吹く。


まるで氷でも張り付いているかのように、顔や指先の感覚を奪っていく。


風ほど無責任で他人任せなものはない。どの季節においても、空気の温度をそのまま俺たちにぶつけてくるのだから。


商店街は閑散としていた。ゴーストタウンだといわれても違和感がない。


クリスマスや年末が近いというのに、たくさんの店がシャッターを下ろしている。


というのもやはり、この街には、住民が少ないからだろう。


この震える寒さの中、店を開けていても、客が来ないのではどうしようもない。


俺と柚葉は、商店街の奥、顔なじみの八百屋へと向かった。
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