そしてまた、桜はさきほこる
散々思い悩んで、苦しんできた。


だけど、この気持ちを伝えないことの方が、俺は絶対に後悔する。


今しかない。


今伝えるしかないんだ。


だから・・・。お願いだから・・・。


何度も同じ階段を上る。


何度も同じ廊下を通る。


何度も、何度も、何度も、何度も・・・。


あたりはすっかり暗くなってしまった。


もう校内に人影はない。こんな時間にいるはずがない。


焦りは絶望へと変わり始めた。


俺は、最後の望みにかけて校庭へと出た。


すると、クシャクシャになった花束を抱え、正門へと歩いていく一人の女の子が見えた。


長くてきれいな髪の毛、人形のような小さい顔。


間違いない。俺の頭が確信している。


冬の日の商店街の時とは違う。


この子は、俺が好きで好きでたまらない、さきちゃんだ。
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