わたしの本当の王子様は、誰?
「お前といつも一緒にいる友達ずっときてないし。今日学校きたらお前ひどい顔してたし、そう思ったら教室から消えてるし」
「・・・だからきたの?」
「そ。それに俺もさぼりたかったし」
やっぱりわかんないよ。
桐生くんの行動はいつだって謎。
ねえ、だって気づいてるよ。
桐生の肩が少し濡れてること。
わたしが濡れないように傘をわたしのほうに傾けてくれてること。
あの日繋がれた手の感触はいまでも覚えてる。
優しくて、あったかかった。
いまも感じる。
触れてなくても、その優しさが伝わってくる。
こういう優しさが伝わるからどんなにひどいことを言われても睨まれても、わたしは桐生くんを憎むことができないのかもしれない。