わたしの本当の王子様は、誰?
それに、本当は嬉しい。
あのままひとりで雨に打たれていたら、わたしはきっとおかしくなってた。
真美のことを気づいてあげられなかった自分を恨んでおかしくなってた。
「泣きたいときは泣けばいいんじゃねえの、思いっきり」
わたしの目から涙が零れ落ちた。
本当は、ずっと前から泣いてたのかもしれないけど。
でもこの雨が洗い流してくれてた。
頬についていた雨の雫が、わたしの涙と一体化して落ちていく。
その間、桐生くんはなにもいわず、じっと前をみつめていた。
やっぱり彼は王子様?
お姫様を守ってくれる王子様?
そう思ってしまうわたしは、やっぱり桐生のことを嫌いにはなれないんだと知った。