わたしの本当の王子様は、誰?






「ありがとう」

「なにが」

「きてくれて、傘も」


傘をたたむ桐生くんにお礼をいう。

やっと雨がやんだ。

いまが何時なのかわからない。

携帯、教室においてきちゃったし。

ただ、きっともうお昼休みくらいにはなってる。

それくらい長い時間、桐生くんはわたしに傘を差し続けてくれた。



「勘違いすんな」

「・・え?」

「俺はお前がうざい、それは変わらない」


ああ、そういうことまたいう。


「ふふ」

「なに笑ってんの」

「面白いなあって」


あのときはわたしだって相当怒ったし、そういえば殴ろうとしてたっけな。

でも、なんかいまはそんな気分じゃない。

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