わたしの本当の王子様は、誰?


「あれは、悲劇だった。親父が起こした最悪の事件だった」

「事件?」

「そこにうつっている海の知らない4人と父さんはな、高校生の同級生なんだ。とても仲良しだった」


昔の父さんの話を聞くのは、はじめてだった。


「でも高校卒業と同時に全然連絡を取り合わなくなったんだ。その理由はお前ならわかるだろう?」

「会社の、社長になるため?」

「そうだ」



「社長になると同時に結婚が決まった。それが母さんだ。母さんはとても美人で優しくて、俺の補佐もしてくれるとても立派な女性だった」


俺の知らない母さん。

母さんは俺を産んだと同時に亡くなってしまった。

でも遺影としておかれている母さんの写真はとても美人。


「やっと落ち着いたころ、久しぶりに連絡をしたんだよ。この4人に。そしたらなんと驚いた。高校のときから、この男性と女性、そしてこの男性と女性は付き合ってたんだがな。結婚するっていうんだ」


男性を指しながらこっちが宮下くん、こっちが金井くんだと話した。

俺に似てるのは、宮下と呼んだほう。

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