わたしの本当の王子様は、誰?
「もちろん俺も母さんも喜んださ。女の子だろうと。母さんに似た子供が生まれてほしいと。ただそう願った」
「でも、母さんは・・」
「体がもともと弱かった。医者にいわれたよ、もしも体力が持たなかったとき、子供の命か奥さんの命か、選べと。俺は母さんがいいと望んだ。でも母さんは違った。わたしよりも子供を優先してほしいと医者に頼んだ」
ここで父さんはそのときの光景を思い出したのか、少しだけ泣きそうな顔をした。
「結婚式場で会ってから、母さんもみんなと意気投合してな。妊娠がわかったときも同じ病院にいっていたんだ。これでもし同じ日に生まれたらすごいねなんて冗談を言い合いながら。でも、その冗談が、現実になってしまった」
「・・・」
「宮下のところは予定日よりだいぶ早くうまれた。金井のところは予定日より3日遅く、そして母さんは予定日より10日近く早くに。そして母さんは、そのまま息をひきとった。女の子を出産してな」
「・・・っ、それじゃあ、なんで」
おかしい。
それじゃあ、なんで男なの。
なんで俺がこの家にいるの。