わたしの本当の王子様は、誰?


真美って女。その女のことももちろん知っていた。

愛鳥の交友関係はすべて把握済みだったから。

彼女が暴力を受けていることも。

ただ俺には関係ない。



ただ愛鳥がそれを知ったときどうなるかな。

崩れ落ちるだろうな。

傷つくだろうな。

ものすごく。





夏休み明けて1週間、雨がものすごく降っていたあの日。

愛鳥が教室にいないのに気づいた俺は休み時間になると傘をもって屋上へと向かった。


なんでだろうな。

お前が傷ついているのが嬉しいはずなのに。

もっと苦しめばいいと思っているはずなのに。


寂しそうに笑ってるあいつをみると、心がしめつけられるんだ。

俺に話しかけようとしてくるくせに、俺が睨むと話しかけてこないところとか。

くればいいのに。俺のところに。


体育館裏で俺を殴ろうとしたように、怒ればいいのに。

そうしてこないから、予想外だった。

3か月間もずっと話さないなんて、予想外。


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